白内障の日帰り手術
日本では年間130万件もの白内障手術が行われています。手術器具や手法、技術力が高度に洗練したことで、重い全身疾患がない方の白内障手術は入院の必要がなく、日帰りで受けられるようになっています。
麻酔薬の目薬という点眼麻酔で手術できますし、手術時間自体は5分程度です。手術を受ける際の通院頻度は、事前に行う術前検査・手術説明以外に、手術日、翌日、3日後、5日後、1週間後の5回で、その後は6ヶ月まで月1度の定期検診となります。
当院は遠方から白内障手術で受診される方も多いのですが、その場合は定期検診などをご自宅近くの眼科で受けることもできます。
単焦点眼内レンズを用いる白内障の手術には健康保険が適用されます。片目だけの手術費用は以下の通りです。
保険種別 | 自己負担額 |
---|---|
1割負担の方(片目) | 約16,000円 |
3割負担の方(片目) | 約50,000円 |
なお、多焦点眼内レンズを用いた手術・費用は以下のページをご確認ください。
白内障について
目に入ってきた光は、黒目部分にある角膜と水晶体というレンズを通って眼球の奥にある網膜に届きます。網膜は届いた光を視覚情報として視神経に伝え、そこから情報が脳に伝わって、ものが見えます。
白内障の見え方
白内障がない場合
中程度の白内障がある場合
重度の白内障がある場合
イラスト説明で白内障のことが分かるページ別ページで白内障についてイラストなどで大変わかりやすく説明しております。
是非ご確認ください(ALCON JAPAN LTD.のサイトへ)→こちらをクリック
白内障の主な症状
- 最近視力が衰えてきた
- 眼鏡の度が急に進んだ
- 視界にかすみがかかっている、くもる感じがする
- 以前よりまぶしさを感じるようになった
- 暗い場所であるはずのない光が一瞬見えることがある
- 近い距離のものが見えやすくなった
などがあります。
白内障の原因
最も多い原因は加齢であり、高齢になったら誰もがなる可能性があります。代表的な原因として下記の4つがあります。
- 老人性白内障:加齢によって発症します
- 若年性白内障:病気や治療で用いた薬剤によって発症したものです
- 外傷性白内障:打撲や異物によるケガなどの外傷によって発症したものです
- 先天性白内障:生まれつき水晶体が濁っているケースです
白内障の治療
進行を遅らせる効果が期待できる薬剤はありますが、水晶体の濁りを解消する治療法はありません。水晶体が濁って低下した視力を取り戻すためには、手術が不可欠です。
白内障手術の内容
水晶体は、水晶体嚢という袋のような膜に包まれています。手術の際にはこの水晶体嚢の前面部分を切り取って、水晶体を超音波で細かく砕いた上できれいに吸い取って、水晶体の代わりとなる人工レンズを挿入します。
白内障日帰り手術の流れ
Step1眼科受診
急に視力が落ちた、視界がかすむなど、上記で紹介したような症状があったら、眼科を受診して検査を受けてください。
Step2白内障と診断されたら手術を検討します
白内障と診断されて、日常生活に支障がある場合や、次の運転免許更新時に必要な視力が出ない可能性があるなどの場合には早めの手術が必要です。仕事や趣味をはじめ日常生活に支障がない場合には、手術を急ぐ必要はありません。ただし、進行してしまうと手術による負担が増えてしまう可能性もありますので、それも考慮した上で慎重に手術時期を決めてください。
Step3手術の申し込み
当院ではすべての白内障手術を日帰りで行っています。
お一人暮らしなどで入院による手術をご希望になる場合や、全身疾患があって入院による手術が必要な場合には、連携している入院設備を持った医療機関をご紹介し、スムーズに手術を受けていただけるようにしています。その際も、術後の検診といったフォローは当院で受けていただくことが可能です。
現在、当院で白内障日帰り手術をお申し込みいただく場合、約1ヶ月先の手術日ご予約となっています。なお、キャンセルや延期があった場合には、それより早く手術が可能になるケースもあります。症状が重くて日常生活に大きな支障があったり、免許の更新日が近づいているなどで手術をお急ぎの場合には、ご相談ください。
Step4手術の説明と同意
白内障手術は、点眼麻酔のみの日帰りで受けられますし、手術時間も5分程度です。そのため、簡単な手術だと誤解されることがありますが、顕微鏡で観察しながら行う精緻で繊細な手術です。手術ですから、リスクや合併症の可能性もゼロではありません。こうしたことを事前にしっかり理解した上で、手術を受けることが不可欠です。また、目の中に移植する人工レンズは生涯そのままお使いいただくものです。安全性が高いとはいえ身体にとっては異物ですから、人工レンズの性質や特徴についても十分理解いただくことが重要です。
当院ではこうした説明をわかりやすく、丁寧に行った上で、患者様の同意をいただいています。わからないこと、気になることがありましたら、なんでもご質問ください。
遠方が良く見える単焦点レンズの見え方
近方が良く見える単焦点レンズの見え方
Step5手術前の事前検査
手術日の数週間前に診察と検査を受けていただきます。
検査では、角膜の状態と形状、そして眼球の長さを測定します。これによって水晶体の代わりに入れる人工レンズの度数が決まります。
かりに1.0の視力が出ていても、白内障が進みますと、コントラストの低下と言いまして、濃淡がわかりにくくなり、視力の割に見え方の悪い場合などがあります。この場合、コントラスト検査を行いまして、手術の適応を判断いたします。
コントラスト低下がない場合
コントラスト低下がある場合
手術について、スケジュールや注意点などを中心に詳しくご説明し、手術3日前から当日まで点眼する目薬を処方します。
Step6手術当日
手術時間の2時間前にご来院いただき準備いたします。手術時間自体は5分程度 、受付から手術、ご帰宅までの院内滞在時間は約2~3時間が目安です。
Step7術後の受診
術後の受診は、手術の翌日、翌々日、そして翌週であり、その後は経過によって変わりますが1ヶ月に1~2回の受診が目安となります。
入浴について
手術翌日には入浴が可能です。ただし洗顔とシャンプーは3~5日後が目安となっています。経過による個人差がありますので、医師の指示に従ってください。
白内障の手術動画
※閲覧注意動画ですので、手術動画に抵抗がない方のみ閲覧いただけると幸いです。
後発白内障
白内障手術では、水晶体が入っている水晶体嚢の前の部分を切り取って水晶体を砕いて取り出し、水晶体嚢の残された後ろの部分である後嚢に人工レンズを置くことで固定させます。白内障の手術後、この後嚢が混濁して、視界がぼやける、かすむ、視力低下など白内障のような症状を起こすことがあります。これが後発白内障です。
後発白内障を発症した場合には、レーザー治療によって症状を解消できます。手術後にこうした症状が現れたら、早めに受診してください。